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こんにちは。2月2日(火)です。
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#165 < 東洋の物語の型 > 十牛図(じゅうぎゅうず)
// ヒーローズ・ジャーニーとの差異

物語に型あり

物語にはいくつかの型が見受けられます。この分野で有名な古典はジョーゼフ・キャンベルによる『 千の顔をもつ英雄  』。

わたしも手にとったことはあるものの読了には至っていません。参考まで松岡正剛さんによる記事へとリンクを貼っておきます。

https://1000ya.isis.ne.jp/0704.html

より身近な物語の型は昔話に見受けられます。「あるところに○○がいて、△△と出会い、それで...」という主人公の冒険や変容を記したもの。

いわゆるヒーローズ・ジャーニーですね。

さて、似たような型でありながら、少々哲学的なヒーローズ・ジャーニーが東洋にはあります。

それは「十牛図(じゅうぎゅうず)」です。

 

禅などにも親しい...

私は2015年前後に哲学としての仏教の本を読み漁っていました。その中で、この「十牛図」とも出会い、興味深く感じていたのですが、なぜかすっかり忘れていました(汗)

思い出した理由は、息抜きの散歩がてら立ち寄った図書館でのこと。図書館員によるおすすめとして入り口でふと再会したのでした。こういう出会い、面白いですよね。

さて、十牛図は文字通り、牛を中心に10個の絵柄でなりたっています。

少年が道を歩いていて、牛と出会い、共にするも、いなくなる。そして、居なくなった先にはなにがあるのか...

というプロセスを記します。

具体的には以下の流れ。

尋牛(じんぎゅう):牛を探す
見跡(けんせき):牛の足跡を見つける
見牛(けんぎゅう):牛を見つける
得牛(とくぎゅう):牛を得る
牧牛(ぼくぎゅう):牛を手懐けようとする
騎牛帰家(きぎゅうきけ):牛に乗って家に帰る
忘牛存人(ぼうぎゅうぞんじん):牛を忘れ、自分に戻る
人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう):牛も、自分も忘れる
返本還源(へんぽんかんげん):無になる
入鄽垂手(にってんすいしゅ):再びこの世で生きる(ある)

いろいろな解釈があるのでしょうが、わたしは「少年は日々迷う自己」であり、「牛は真の自己」を意味すると感じています。

ひとつの物語の型、ですよね。

 

東洋らしさ

ヒーローズ・ジャーニーに便宜上、外側に悪者らしきものを作ります

一方で、十牛図は終始、自己との対話。自然に還り、そのままであるという円相が記されます

どちらも伝えたいメッセージの本質(自己の変容)は同じなのでしょうが、そのプロセスが外にあるのか、内にあるのかで異なります。

東洋の哲学、とりわけ仏教では、すべてのひとには内に "仏性(まっさらなキャンバス)" があるとします。

その仏性に至る道は、それこそ宗派によって異なるのだと思います。

実践する道(たとえば座禅を組み続ける)
お経を唱え続ける(南無阿弥陀仏など)
儀式を通して、真理に至る(密教など)

などです。

プロセスを記していながらも、具体的な手立ては記さない。でも、その空白に、それっぽい物語を感じとってしまえるものこの十牛図(物語)の面白さです。

インド哲学では「アートマン(真我)」がこの十牛図に当てはまるのでしょうか。中国なら「道(タオ)」でしょうか。

型でありながら型とせず、ガイドのような十牛図。

ヒーローズ・ジャーニーの活用に行き詰まったら、思い出したいですね。

 

コーヒーブレイク

ヒーローズ・ジャーニーが東洋的なものとマッチしないかと言えば、そうでもありません。自己の変容をテーマにする限り、それはきっと人に普遍のものだからです。

SF古典名作『 砂の惑星 / Dune 』は、1965年に発行され、スター・ウォーズや風の谷のナウシカに影響を与えたとされます。

わたしも只今、読んでいる最中でして、西洋、中東、東洋の要素が入り組んでいる不思議な世界観です。外に敵を作りながらも、自己との対話も同じくらい重ねています。

コロナ禍で進捗不明ながら、本来であれば昨年2020年に映画上映がなされていたはずです。公開までに原著も読んでおきたいです(^^)


:::編集後記:::
気分転換に、ちょっと遠目の図書館に足を運ぶことにハマっています。意外な発見があるのがよいですね。変わりつつある世の中にあり、ひそかな楽しみ(再発見)となっています。

 
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