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モノガタ x L'Express
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こんにちは。5月18日(火)です。
今週のメールマガジン モノガタ レ クスプレス をお届けしています。
 
#180 < ニッチと分人 > 絞ると、共感や味わい増に
// コミュニティが際立つ時代

平野 啓一郎さんの新書

つい先日、立て続けに芥川賞作家の平野 啓一郎さんの新書『 私とは何か 』をすすめている動画に出会いました。

私は3年ほど前、平野 啓一郎さんの小説を一年かけて追っていたことがあり、この『 私とは何か 』も気になっていました。

ですので、ちょっと手に取ってみています。

本書は2012年に発刊され、キーワードは "個人 から 分人 へ" 。

参考まで)Amazonへのリンク
私とは何か ―「個人」から「分人」へ (講談社現代新書 2012/9/14)
https://amzn.to/3yjH18O

 

それぞれに対応した顔がある


個人分人(ぶんじん)とは何か。

平野さんはまず「個人」を以下のように述べています。
・"individual" という英単語があり、日本語では "個人" と充てられている
・individual の語源は "in(否定)" + "dividual(分かれる)" =分けられない=個人
・封建主義が解体され、階級が無くなり、個人が注目されてきたのは近代のこと
 ※一方、近代以前はキリスト教で神と相対する私(個人)が存在した
という構図で成り立っている。

個人を巡るこの構図は、あたかも唯一無二の本当の自分があるように思わせてきたのではないか(人工的で、西欧的な考え方)

また、

もし仮に本当の自分があったとしても、それは実体が伴わないもの(頭の中のモノ)ではないか

とも平野さんは疑問を投げかけます。

つまり、本当の自分なんてあるのだろうか、と。

ここで分人(ぶんじん)なるものが登場します。

家族と向き合う自分、クラスメートや職場の人と向き合う自分、趣味で仲間と向き合う自分など現実世界では、自分(あなた)はいろんな顔を持っている

よって唯一無二の自分探しをするのではなく、自分はいろんな顔を実体として持っていて、それを自認した方が生きよいのではと、提起しているのです。

分人は核があるわけではない、ネットワークだ、とも言います

つまり、タイトルの「個人」から「分人」へ  とつながります。

 

ニッチ=絞ると共感が増す!?

マーケティングの世界には "ニッチ" という考え方があります。なんでも出来るというより、これが得意ですと、あえてPR方法を絞る考えです。

たとえば旅行情報を発信する場合、ありふれた旅行情報の提供ではなく、いかに安く旅行するかに徹底した情報提供をするなどがニッチ。

言い方を変えると、絞り込んでしまう行動です。

この絞り込み、絞り込むほど情報の受け手との接点が減ってしまいそうですが、意外にも共感をしてもらえるスペースができるのが不思議

あ~、そうそう。わたしもそれを考えてた、とか気になってた、という瞬間が増えるのです。

この感覚、"分人" で考えると納得できる部分が見えてきます。

ひとりの人間には唯一無二の個人はない。それぞれの場面に合わせた自分がある。

...とすると、一見、話題を絞り込んだことによって情報の受け手の対象(頭数)を減らしたように見えても、(相手のネットワーク内の)どの分人に共感が得られるかは分からないのです。

たとえばビジネスパーソンが効率を優先する旅行を計画していたとしても、学生時代に貧乏旅行をしていた自分があるかもしれません。かつて、その環境にあった自分(分人)は生き続けているのです。※学生時代の仲間と合うとその時のスイッチが入り、接し方が当時に戻るように

また近年は、SNSで境目なく "似たような私(他人)" とつながれるようになりました。ネットでコミュニケーションを取る自分は仮面をかぶった自分でもなく、それも自分(分人)なのです。

ん~、そう考えると確かに気が楽になりますね(^^)

情報発信側はその受け手を想定するのは大切。ですが、分人なるものを気にかけておくなら対象は無限大とも大胆に言えてしまえます。

絵に描いた餅、でしょうか。

ただ、ひとつ言えるのは、発信している自分が楽しそうにやっていることが大切な時代なのかもしれません。どこの分人に共感してもらえるのかは未知数なのですから。

 

コーヒーブレイク

興味があってカメラのfacebookコミュニティに参加をしました(英語圏)。ニッチなニッチなテーマのコミュニティゆえか、各自が嬉々として自身の作品を公開していて興味深いです。

日本人の方も英語の自動翻訳機能を使いながら積極的にコミュニケーションを取っています。

それもあって分人が気になりました。



:::編集後記:::
平野さんの新書は、講談社現代新書から発刊されており、同封されていた"しおり"の印刷がおもしろかったです。1964年創刊以降の発行部数TOP10が記されているのです。

第一位は「知的生活の方法」著 渡部 昇一 1974年刊 でした。

読んだことがあるような、ないような。でもTOP10で記されると気になりますね(笑)
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