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こんにちは。11月30日(火)です。
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#208 < 番外編GT12 > グローバル・トレンド2040
// 出現しつつある動き - 社会面:幻滅、情報社会、分断

社会面:幻滅、情報社会、分断

『 グローバル・トレンド2040 』、12回目。これまでの4つの潮流が今後20年の土台を築く一方で、同じく今後20年は、主に社会、国内、国際の3つのレベルの "選択"によって導かれていく。
※メルマガ最下部 "コーヒーブレイク"ではこれまでの発行履歴リンクをつけています

個人、そして政策の選択が「社会のまとまり」「各国内のしなやかさ(柔軟性)」「国家間の作用の種類」を決定づける。

https://www.dni.gov/index.php/gt2040-home/emerging-dynamics

社会面:幻滅、情報社会、分断
国 内:緊張、乱気流、移行
国 際:競争激化、不確実、衝突しやすい

今回は「社会面」を見ていきます。なんと申しますか...正直、読み始めるまでは少し億劫だった章。しかし、読み始めると考えさせられることが多い内容でした。

少々、悲観的な見方が続きます。一方で興味深いレポートも紹介されています。

 

分断の萌芽あり?!

まず「社会面:幻滅、情報社会、分断」をまとめる数行を意訳再掲
https://www.dni.gov/index.php/gt2040-home/emerging-dynamics/societal-dynamics

Potentially slower economic growth in coming years and smaller gains in human development in many countries are likely to exacerbate distrust of institutions and formal sources of authority for some members of the public.

この先、潜在的な経済成長が鈍化していき、かつ、多くの国で基礎教育から得られるものが小さくなっていく。それによって、(それぞれの国の)機関に対すて相対的な信用が悪化。社会のいくつかのグループにおいて権威の源(権威付けるもの)とされていたものも弱まっていく。

および Key Takeways 4つを軽く意訳

◎急速な社会変化が起きながらも、経済成長は鈍化し、基礎教育がもたらす効果も薄まっていく。世界人口の多くの場所では、不安や未来への不確定さを抱え、諸機関や政府に対する信頼も低くなる。多くの人は過去の機関を破綻した存在、もしくは非効率的なものとして見るようになる

◎多くの人は志向が似通った者同士(民族、宗教、文化など)で集まるようになる。それぞれのグループは存在感を増し、それぞれがもつビジョンやゴールや信念を戦わせるようにもなる。

◎国家というボーダーラインを超えて(transnational)くっつきあう新たな個々人や、それまでつながりが薄まっていたグループの復活、個別化された情報環境。それぞれによって国内に分断線が出来、市民の国家意識も薄まり、不安定さが増す

◎民衆は情報を得るツールや能力が増し、社会や政治に変化をもたらしたいという欲求が増してくる

 

詳述、見出しを追いながら
 

〇悲観的な見方が増し、「信頼」がぐらつく
いくつかの地域では過去数十年と経済成長から得られるものが横ばいになっている。そして、その国内のひとびとはグローバル経済から見た時に、勝ち組負け組に敏感になり、政府に是正を求め始める。過去数十年で約15億人が中流階級となったが、いくつかの国では再び中流階級から落ちるひとが出てきている、それは経済先進国も含めてである。

※補注以下--

経済成長を果たしているのに、その利益を得られていない感じがするのは本当に不思議なことだと改めて思います。ここから本章では、米国PR会社の調査を引用しはじめます。エデルマンという会社が出している「信用バロメーター」に関するレポートです。

いくつかの調査対象国にてアンケートを実施しており、良い悪いは抜きにして対象を2つに分けてリサーチ。ひとつのグループは「情報に習熟している公衆(informed public)」とし、大卒で、34-65歳、世帯収入が上位25%、情報収集や政策にも関心がある層と定義。そしてもうひとつはそれ以外の「大半の公衆(mass public)」としています。

本レポートは、エデルマン日本支社のHPでも公開されています。下記に興味があれば。

・動画による解説
https://www.edelman.jp/research/edelman-trust-barometer-2021

・レポートの翻訳(日本資料で、アメリカ配布のレポートとは内容が異なります)
https://www.slideshare.net/EdelmanJapan/2021-246556173

「信用」について調査をしているのがとても興味深いレポートです。公衆の何に対するレポートかといいますと「ビジネス」「メディア」「政府」「NGO」の4つが対象

同じく、どの国にフォーカスを当てて読むのか、また個々人によって読み方は変わると思いますが、私は下記のように感じました。

世界的には政府への信頼が落ちており、ビジネスへの信用が上がってきている模様。一方、この傾向は日本はちょっと特殊でかわらず政府を信用している数値が出ていると読めました
※わたしはアメリカ配布の資料を読んでいたことに気がつきまして、上記にリンクを挙げた日本配布資料を読まれた方が正確な読み方ができるかもしれません

ちなみにエデルマン社は2021年を「情報破綻宣言」と位置づけているようです。

以上、補注。レポートに戻ります--

「信用」そのものは、社会にあまねく均されているものではない

2012年から2021年の間で起きていることは2つ。

「情報に習熟している公衆(informed public)」と「大半の公衆(mass public)」において、4つの機関に対する信頼は平均して5%のギャップが生まれている

同様に会社に対する信頼は二つのグループにおいて、4倍のギャップが開いている

※補注:どちらが信用を上げているのか、もしくは下げているのかはレポートを読まないと分からないのですが、この約10年での情報格差は確かなようです。

レポート内では、大衆は富めるエリートに寄り添う政府よりも、公的でない機関(=企業やNGO)を信頼する傾向にあるとも補足。また、今後数年で普及するテクノロジー(人工知能、機械学習、5Gなど)でインターネットへのアクセスが拡大し、なにが本当でなにがウワサなのかに苦しむ公衆も生まれると記しています。政府による監視も恐れるとも。


〇「アイデンティティ」がより抜き出てくる
政府、エリート層、その他既得権を得た機関が失墜することで、社会はより断層化する。断層化のベースとなるのは個々人のアイデンティや信念である。
※補注:アイデンティティの軸となる要素は、民族性、愛国心、人種、性別、性的志向、宗教を挙げています


〇情報はつながり、混乱し、分断する
つながりが増す環境において、アイデンティティにも変化が起き、社会のダイナミクスも増していく。またソーシャルメディアは反響する部屋にいるようなモノだ。場合によっては、選択肢がある世界という見方を制限してしまうこともあるだろう(補注:ソーシャルメディアは似たモノ同士の情報を寄せ合う仕組みにあるため)。

ソーシャルメディアプラットフォームは、いままで主流ではなかったグループを含め、オピニオンリーダーをつくりやすい環境にする。彼ら自身の議論を促すこともする一方、まとまりを強調したり(補注:いたずらに、のニュアンスを感じる)、マーケットへのアピールもしやすい環境をつくる。

人々は、文化、民族、国民性、宗教などの「社会的アイデンティティ(social identities)」を用い、自身の情報収集をコントロールしたり、場合によっては国民としてのアイデンティティを分断したり、政府を弱体化させることにもなるかもしれない。

また、個々人のアイデンティティベースによる暴言や政治的な犯罪もソーシャルメディアによって促されるかもしれない。

一方で、人々は一層、お気に入りの情報源(favorite gatekeepers/ニュースメディア、ソーシャルメディア、信頼できる権威あるメディア人)に依存していくようになる。これは作り話への寄りかかりから、真実への移行も促すこともあるはずだ。

しかし、アイデンティティが軸となった信念は往々にして、真実を求める姿勢を損ねがちでもある所属したい欲求、ステータスへの欲求などが人間にはあるからである


〇国へのアイデンティティは厳しい状況に
一般的に愛国精神は国を強くする。しかし、排他的な様相が強まってくると、突出した力が弱まったり、市民の愛国心を弱めることにもなりうる。


〇公衆は力を増し、より要求するようになる
コミュニケーション技術の発展により、国際的なトレンドや出来事が分かるようになり、リアルタイムの気づき(raising real-time awareness)が増してくるようになる。


以上、長くなりました。

本章は、社会を形づくる個人(アイデンティティ)についてフォーカスが当たっています。そして、その個人の情報収集方法はいかようになり、どのような影響を社会に与えるのかについても言及がなされていると思います。

ソーシャルメディアに限らず、インターネットという媒体そのものが、自身の興味のある事しか映さないメディアでもあることはよく言われることです。

よって、新聞、雑誌、本などの紙メディアの魅力も見直されています。紙面に目を通せば、いやでも自分の関心がない情報も目に入ってくる特徴からです。

その意味では、リアルの書店を歩くこと、または電車内の中づり広告を読むことも、自分の関心を広めるには大切なのかもしれませんね。

また、エデルマン社の信用バロメーターレポートも新鮮でした。

「信用」そのものは、社会にあまねく均されているものではない

これも強烈な言葉だと思います。

 

コーヒーブレイク

目次とレポートのダウンロードリンクをこちらに載せておきます。目次は迷子にならないための道しるべです。

GT2040 は実務でも使われる資料なので、目次立てもしっかりしていますし、各章の頭に要約が載っています。しかもホームページではご丁寧に下記の並びでそれぞれの記事が用意されています。

ホームページ
https://www.dni.gov/index.php/gt2040-home

└ はじめに
└ 全体要約
 ・5つのキーテーマ
 ・前段と全体要約
└ Covid-19についての言及

└ 構造的な潮流
  └ 人口動態&教育
  └ 環境
  └ 経済
  └ 技術

└ 出現しつつある動き
  └ 社会面:幻滅、情報社会、分断
  └ 国 内:緊張、乱気流、移行
  └ 国 際:競争激化、不確実、衝突しやすい

└ ビデオ
└ 5つのシナリオ
  └ 1.民主主義の再生
  └ 2.世界的に漂流する
  └ 3.競争的な共生
  └ 4.バラバラになる
  └ 5.悲運の連鎖

└ 地域ごとのシナリオ
  └ ラテンアメリカ
  └ 欧州
  └ ロシア&ユーラシア
  └ 中東&北アフリカ
  └ サハラ以南のアフリカ
  └ 南アジア
  └ 北の東アジア
  └ 南の東アジア
  └ オセアニア


ホームージの大枠は以上のようになっています。

なお、GT2040自体のPDFは以下よりダウンロード可能です。

https://www.dni.gov/index.php/gt2040-home/gt2040-media-and-downloads

Current edition
Global Trends 2040: A More Contested World

をクリックです。156ページ。


◇本メルマガのバックナンバーも併せて。

00 GT2040を読み始めたきっかけ
01 はじめに
02 導入~キーテーマ 5つ
03 ステージ構成
04 全体要約
05 新型コロナウィルス要因が未来に与えるもの
06 構造的な潮流 - 人口動態と人類の成長
07 構造的な潮流 - 環境 / 気候変動と環境悪化
08 構造的な潮流 - 経済 / Economic trends
09 構造的な潮流 - 技術 / Technology
10 構造的な潮流 - 振り返り
11 出現しつつある動き - 先にまとめ


:::編集後記:::
暑い季節よりも、寒い季節の方が好きなわたしがですが、最近の朝昼晩と寒い気候に戸惑っています(笑)例年なら薄着で風邪を引いたとしても気にしないのですが、近年はそうもいかず寒さに敏感になっている気もします。人間の感覚はおもしろいですね。
+ 物語のチカラ を信じて
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MARC LOGUE 代表  原田 健也
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