Copy
モノガタ x L'Express
ブラウザで読む
こんにちは。1月19日(火)です。
今週のメールマガジン モノガタ レ クスプレス をお届けしています。
 
#163 < 脳科学と物語 > 戦う?それとも逃げる?!
// 悲哀や皮肉が物語に効くわけ

小説で酔ってます...

昨年末から立て続けに小説を読み続けていて、わたくし若干 "物語酔い" になっています。

迎え酒ならぬ、迎え読書。読むことが止められないという...昨年の本に手が付かないスランプが我ながらウソのようです。

さて先日のこと。この1月末に古希をお迎えになる経営者の先輩とお話する中、忘れていた大切なことを思い出させていただきました。

それは "楽しむ" ことについて、でした。

先輩は約35年間、国内大手メーカーを営業として勤め上げ、そののちは中小企業の建て直しに10年。そして2年半前から改めてご自身の事業を立ち上げた、という経緯を伺いました。

会話の中、「ぼくは目標をこう決めたんだ」とおっしゃる姿が素敵で、そしてなにより "決めた" という言葉が自然なのです。

それで思わず私は、どうしてそんなに自然体で目標を語ることができるのですか? と尋ねました。

すると先輩は、

だって、あれができたり、これが出来たりって、楽しいことでしょ」とおっしゃいました。自然体で。

そう、楽しむって、大切ですよね。

私自身、年末年始から物語漬けになっていてたので、"紆余曲折"というイメージが頭の中に沁みついてしまっていたことに気が付きました

一方で、物語にはなぜ紆余曲折、つまり主人公の苦難や悲哀が必要なんだろうと思うに至りました。

困難な道のりに惹かれるのには、わたしたちの脳も影響するのかもしれない

そのように気が付かせてくれた1冊の本があります。



『スマホ脳』という本

昨年2020年11月末に発刊された『 スマホ脳 』という本(新書)があります。

スマホ脳(新潮新書)by アンデシュ・ハンセン
https://amzn.to/39H54Dt

著者はスウェーデンの精神科医。スマホ脳というタイトルではありますが、わたしたちが健康的に生きるにはどうすればよいかがテーマ。脳科学の観点からヒントを与えてくれる一冊です。

本書の問いは以下の点からはじまります。

20万年前に、人間の種が東アフリカに生まれてきた。
以降、現代まで99.9%の時間を人間は狩猟と採集をして暮らしてきた。
それらの時間の死因は飢餓や殺人、干ばつや感染症だった。

そして人間の脳は1万年前と大きく変わっていない。
生き延び、遺伝子を残すことに脳を使ってきた。

一方で、食べ物の量は増え、この10年(スマホの誕生)で情報量も増えた。

原始時代に獲物を探し求めサバンナを歩き回っていた人間と身体はそうそう変わっていないのに、摂取カロリーは増大。また、情報の渦に巻き込まれストレスは不断なくある状態。

これで人間が健康でいられるだろうか、という問いかけ。


食べ物のカロリーを欲するのは生存のため。そして、情報というカロリーは危険を察知しようとするために欲する仕組みが脳にあると言います。

その脳機能は、人間に限らず脊椎動物には以下の仕組みが埋め込まれていると著者。

・脊椎動物に共通する脳の原始的な部分は、危機を察知するようにできている

・危機を予感した場合、「戦うか逃げるか」のスイッチが入る

・心拍数が上がり、すばやく逃げられるようにする機能が自動で動く(目の前のことを処理するようになり、他のことはどうでもよくなる)

ライオンなどの外敵を発見した際、瞬時に逃げるためであればこの脳機能は効果的。しかし、現代の情報社会はその脅威が終わることがない。よって、ストレスにさらされ続けて、人間は不調に陥るのだとの仮説を著者はまとめます。

しかも、この原始脳の警報機は、被害があるより無いにこしたことはないということで、多めに警報を出すというのです。


※ちなみにストレス耐性を高めるには、スマホなどと距離を置くことはもとより、運動をすることを勧めています(週に3回45分の心拍数を上げる運動、また著者による別の本には1日15分の散歩とも)。体力が付けば、戦うこと、逃げることにも余力ができ、精神の安定につながるそう

 

物語のスパイス 悲哀・皮肉、哲学、ユーモア

冒頭の経営者の先輩は "楽しむことは大切だ" と教えてくださいました。

一方で不思議なもの。楽しむことの裏側をいろいろと想像してしまっている私自身にも気が付いていました。

それは、この経営者の先輩の普段の振る舞いを見ていたり、さらにはお勤め時代のことや、中小企業を立て直したことを聞いたから "楽しい" の裏側を自ずと想像してしまうのです。


本メールマガジンでは物語におけるスパイスには3つの要素があるとお伝えをさせていただいています。

悲哀・皮肉」、「哲学」、「ユーモア(手に入れたいものが手に入らない真摯さのつかの間に現れる)」

中でも、皮肉や悲哀のスパイスは、読み手に共感してもらうもの。また、ときには意地悪く "他人の不幸はナントヤラ" もあるかもしれません。

一方で、『スマホ脳』によると原始脳は「戦うか逃げるか」のスイッチを知らず知らず私たち自身に押していると言います

悲しいことや、なんだか皮肉だなぁに反応することも、戦うことや逃走することの過程や顛末に付随する要素と本能が知っているのかもしれません

共感も、脳の機能におけるミラーニューロン(目の前の人の動きを真似して、味方につける/猿の脳から発見)由来と言われます。

人間は思う以上に原始脳に依っている部分があるかもしれませんね。

 

コーヒーブレイク

2週に渡り「現代人の集中力は金魚以下」という説をこのコーヒーブレイクに紹介してきました。

が、申し訳ありません。この『スマホ脳』の著者(精神科医)もこの説に言及をしていました。よろこばしいことにこの「現代人の集中力は金魚以下」はちゃんとした説ではないそうです。

といっても、現代人が集中力を削がれる環境に身をおいていることにはかわりがないと思います。しかも、あちこちに気が向いてしまうのも原始脳由来なので難しいですね。。。

※正確な説ではない、とありましたが、紹介していた記事も今回のメルマガまでで参考に

年末から読み続けている本(思考力がテーマ)に衝撃の記述がありました。

なんと現代人の集中力は金魚以下だそうです。

金魚の集中力は9秒。2015年時点のリサーチ対象者の集中力の持続時間は8秒だったそう。
2000年時点では12秒だったようで、2013年には8秒になっていたとか。

ビジネス誌のダイヤモンドオンラインに同じ研究結果の内容が載っていたので転載します。
https://diamond.jp/articles/-/113465


:::編集後記:::
この『スマホ脳』では、集中するための環境づくりのヒントも巻末に挙げてくれています。その中で、スマホの表示を白黒にするというのがありました。これを私もやってみているのですが、これが中々効果てきめん。

「色」って、やはり人間を刺激するのですね。ということで、PCも白黒を切り替えられるようにしました。このメルマガも白黒画面のなかで作成しています。

再掲)ご参考まで

スマホ脳(新潮新書)by アンデシュ・ハンセン
https://amzn.to/39H54Dt

スウェーデン語 > 英語 >日本語 の翻訳プロセスを経ているそうで、若干読みづらい日本語もありますが、それらは読み飛ばしても文意は取れます。また、私自身、脳科学の本は積極的に手にとってきていますが、人間の進化の歴史を踏まえ、1万年前からそう変わっていない脳と現代社会をどうすり合わせるかの論点ははじめてでした。新鮮な一冊です。

 
+ 物語のチカラ を信じて
Story innovation - ストーリー・イノベーション - は
「物語」を用い、貴社(および社内)とお客さまとの関係を維持する仕組み作りをサポート。
本サイトは、コミュニケーション・デザインを企画する
MARC LOGUE(マーク・ローグ)が運営をしています。

MARC LOGUE 代表  原田 健也
メールマガジンバックナンバーはこちら

Copyright © 2021 Story Innovation, All rights reserved.