Copy
モノガタ x L'Express
ブラウザで読む
こんにちは。10月26日(火)です。
今週のメールマガジン モノガタ レ クスプレス をお届けしています。
 
#203 < 番外編GT07 > グローバル・トレンド2040
// 構造的な潮流 - 環境 / Environment

気候変動と環境悪化

『 グローバル・トレンド2040 』、7回目。イントロダクションを終え、本編に入っています。今回は「構造的な潮流 - 構造的な潮流 - 環境 / Environment」について
※メルマガ最下部 "コーヒーブレイク"ではこれまでの発行履歴リンクをつけています

今回の「構造的な潮流 - 構造的な潮流 - 環境 」該当ウェブページは下記の本文です
https://www.dni.gov/index.php/gt2040-home/gt2040-structural-forces/environment

文字を読むのがシンドイよ、という方は下記リンク先のPDFをご覧いただくと図で潮流が分かるかと思います。※PDFが開きますのでご注意を
https://www.dni.gov/files/images/globalTrends/GT2040/environmental-0.pdf

...と環境に入るその前に。(今回も)改めて潮流がいくつあったのかを確認していきましょう。

構造的な潮流は4つ。
1.人口動態と人類の成長/Demographic & Human development
2.環境 / Environment
3.経済 / Economic trends
4.技術 / Technology

でした。そしてこれら4つの潮流は、以降の「出現しつつある動き(EMERGING DYNAMICS)」に意味を与える下地となる要素でした。

この「環境」に関する章。わたしは読んでいて、自分の偏見がずいぶんあるなぁと気付きをいただきながら読み進め、同時に本メールマガジンを書いています。

たとえば、環境と聞くと、わたしはどうしても "気候変動" がまっさきに浮かんでしまい、そこで止まってる状況に気がつきました。暑さを増す夏の一方、秋が飛んで冬が一気にきたかのような気候。そしてこの乾燥する季節にこそ気を付けなければならない体調管理など、気候変動は身近に感じるテーマだからかもしれません(一方で、気候変動そのものにイチ個人がとれる行動は限られているともどこかで考えています)。

しかし今週のメルマガのタイトルは『気候変動と環境悪化(environmental degradation)』。

環境のテーマは、気候変動だけでなく、環境そのものがその円環のグラデーションをきれいに描けなくなっている(=悪化、劣化、退廃)ことにあるのです。

本章もトピック満載で理解が追いつかない部分が多いです。が、『気候変動と環境悪化(environmental degradation)』は漆塗りでいくども出てきます。これもまた、すでに共有された世界的な挑戦(shared global challenge)なのだと思います。

 

構造的な潮流 - 環境

「レポートの基本、結論は最初に」はここでも徹底されています。各潮流の冒頭に "Key Takeways(ここだけでも持って行って)" が記されています。

下記ページの冒頭、「◎」印3つです
https://www.dni.gov/index.php/gt2040-home/gt2040-structural-forces/environment

環境で世界が迎える環境の代表的なものは2つめの◎

温室効果ガスの軽減に向けて、さまざまな主張は増えていくだろう。パリ協定の世界平均気温上昇を1.5度に抑えるゴールに向けてだ。しかし、今後20年以内に、その1.5度を超えるところに近づいてくると、こんな呼びかけもでてくるだろう。地球工学(geoengineering)の研究を加速させよう、とか、地球を冷やす装置を考えようとか。恐らくそれらは悲惨な結果をもたらす可能性が高いのだが...

と残念ながら若干ネガティブな予測です。続けて3つめの◎の一部を引用意訳します(PDF三行目)。

重荷でもなく、どこかの便益になることもなく、これら論争は等しく国内、国家間でやりとりがなされるだろう

とも述べています。

イチ個人が出来ることは限られていると思いますが、以下の3点が大切かもしれません。
・視野を『気候変動と環境悪化(environmental degradation)』と環境悪化まで広げること
・そして、論争はこの先20年間は続いていること
・一方で、技術の伸展にも心を配ること


また、この章でも詳述の前にある見出しの4行がまとまっていますので、そのまま貼り付けます

The past ten years was the hottest on record, and every decade since the 1960s has been hotter than the previous one.

過去10年間は、温暖化の記録を更新しつづけてきた。そして、1960年以降は10年ごとに温暖化はその前の10年より進行してもいるのだ。

 

詳述、見出しを追いながら

詳述はわたしが気になった点に触れながら、見出しを追いたいと思います(見出しは頭の中を整理するヒントになるため)。

〇気候変動についての足元と激変しうる要素
※19世紀の後半以降、世界の平均気温は約1.1度にまで上がってきた
※いまのペースだと20年後には1.5度を超え、今世紀半ばには2度に向かっていくかもしれない
※すでに排出された累積排出物質は大気にあり、この20年温度に影響を与えるだろう。たとえ、いますぐに排出量がゼロになったとしても( US National Climate Assessmentによる)。

・物質的な影響
 気候変動と環境悪化がもたらす物質的な影響に対し、抗うことができる国や地域はないであろう。しかし、それら変化によって好影響がもたらされる場所もあるかもしれない。ただ一般的には発展途上国は激変する環境変化についていくのに苦労をするだろう

・北極圏の融解と海面の上昇
 19世紀後半から世界的に海面は20~23cmにまで上昇してきている。今後の20年ではプラス約9cmの上昇もありうる。

・より厳しい熱波に
 熱帯地域(ベルト)では極端な熱波に悩まされるかもしれない

・極端な天候とそのパターン
 温暖化により、気候の変動のふり幅が大きくなっている


〇環境劣化の進行
※人口増加、急速な都市化、資源が乏しい地域とその資源活用と課題は交錯しているが、ここに気候変動が関わってくる
※人口が増え続けている沿岸都市は、台風や海面上昇のミックスに悩まされるであろう

・土壌劣化
 土壌劣化は気候変動の影響を受けている部分である。2019年の研究によると、世界的な森林伐採と土壌劣化それぞれが人類のもたらした温室効果ガスのおおよそ10%に影響を与えている。

・水資源への理解不足
 国内、国家間での水資源に対するコントロール不足(Poor water governance)は、今後20年間の水質問題に対するキーポイントとなる。降水量が減る、もしくは不規則になることにより人の生活や経済、農作物に影響を与える。上流がダムをつくって対応するなどもあるであろうが、下流域の生活はどうなるのかなどの課題も出てくる。

・汚染
 空気汚染や水質汚染は成熟した国で20世紀にピークを打ち、減りつつある。しかし、中流規模の国をはじめ世界的には汚染は進んでいる。また、それらは気候変動とも絡み合うものであると認識した方がよいだろう。


〇侵食される人間の安全保障
※2018年の研究によると、世界的に36%の都市が環境変化のストレスを受けたとされる。干ばつ、洪水、大竜巻などである。これらは気候変動による影響は増えるだろう。
※かつ温暖化する世界が受ける物質的な影響は、ドミノ倒し的につながっていく可能性がある

・水と食料の保障が悪化する
 漁業も環境変化により影響を受けている(不漁)

・人体への悪影響
 気候変動は地質的な影響範囲も変えていくだろう。爆発的に発生する疾病の可能性についても同様だ。節足動物媒介性の疾病(西ナイルウイルス、マラリア、デング熱)、飲料水媒介の疾病(コレラ)、空気感染(インフルエンザ、    ハンタウイルス)、食料感染(サルモネラ)

・生物多様性の喪失

・増加する移民
 気候変動は移民の移動理由を増やす


〇好転する要因(Mitigation Gaining Traction : 相当な意訳です)
※成熟した国は排出量を減らしている(エネルギーの効率化、自然ガスの活用)。そして新型コロナウィルス禍がもたらした影響も短期的には排出量減少につながった。各国が排出量減少に向かい歩みを合わせることは、他の地域へ波及し、悪循環を避ける要因になるかもしれない。

・エネルギーの移行は進行中
 化石燃料から代替え燃料への移行は世界的な課題である。仮にこの先20年間も化石燃料が主流であったとしても、風力発電や太陽発電の技術進歩やコストダウンが期待できる。また、もし安全性が担保される設計になるならば原子力発電も成長するかもしれない(※補注:本文は相当控えめ、言葉遣いを選んで書いています。可能性は相当低いように感じられます)。

・二酸化炭素排出をのぞく努力の増加
 Bioenergy with Carbon Capture and Storage (BECCS)というものが一例で紹介されています。バイオマス燃料を燃やすときにでる二酸化炭素の排出も抑える仕組みのようです。他 Carbon Dioxide Removal(CDR)、二酸化炭素排出削減などという考え方も紹介されています。

・二酸化炭素排出削減に向けて補足的な行動
 国際、国家の他、ローカルレベルでいくつかの行動主が出てきている。企業なども含まれる。公共と企業のパートナーシップも本課題に対して好ましい在り方として期待ができる。

〇逆境を活かし成長すること、そして適応すること
※逆境を乗り越え、適応するために投資がある。海に大きな壁をつくるなど大型で複雑な投資もある一方で、マングローブを植える、水がめを増やすなど効果でなくシンプルな投資もある。これら努力への主だったチャレンジは、脆弱なコミュニティにいかに基金をもたらすかであろう。
※公共と企業のパートナーシップは、確率を算定する技術の開発なども生み出す。このようなアプローチは、新しく得てくるデータや機械学習を活かす場にもなるだろう。
※この20年間は逆境を活かすメカニズムがより複雑(進化する意味)になっていくだろう

・地球工学へのいざない
 以下、補注。solar radiation management (SRM/太陽放射管理)、 Stratospheric aerosol injection(SAI/成層圏硫酸塩エアロゾル)などが紹介されています。気温を落とすためのコンセプトのようですが、予想だにしない気候の変化や降水のパターン変化を地球に生み出す可能性もあり、各レイヤーでの議論や取り決めが求められるであろう、と。


〇より広く示唆するもの、または崩壊につながりうるもの
※気候変動により受ける直接的な物質的影響のほか、国や社会がとる環境改善への手段は、難しい選択であり、費用対効果やその成果を図る方法も難しい。
※また、実行段階での制約も国内、国家間では均一な環境はない。
※気候変動へ次々とでてくる対応策は、人間の安全保障、国家そのものの保障へ幾層にも影響を与えるものである

・社会の分裂、政治的問題を加速させる
環境は老若男女問わずの関心ごとであるため、足早の進歩を求める抗議者(主に若者)など、幾層もの分断も生まれうる。場合によっては、いままで相反していた思想の者同士が一定の条件下で手を取り合うこともでてくる。

・世界的な協調に向けて、増すプレッシャー
成長する余地を望む発展途上国は、成熟国が得ているエネルギー技術の共有を求めてくるであろう。また、適応することが難しいのでそれらに対する資金支援の要請もあろう。現に Green Climate Fund という基金が承認を受けている。

・高度化する競争
気候変動と環境悪化は、国家間の地政学にも影響を与える( more Contested geopolitical environment )。

・不安定さと衝突のリスクの増加
気候変動がもたらすものだけが不安定さと衝突のリスクを生むわけではなく、政治的、社会的に、そして経済的な文脈でその脆弱性が見出され、衝突へとつながるのではないか。

・軍事配備への圧力
気候変動により守備範囲が変わるであろうし、それにともなうトレーニングの変化もあるであろう(もちろん財政的にも)。

・プレッシャー下にある国際システムにさらなるプレッシャーを
たとえば、難民に対する国際法は、気候変動による移民の移動は適応範囲外になっている。現在の国際法や国際協力の実体は、気候変動でますますミスマッチを生んでいる。

以上、今回も長くなりました。

前回の人口動態については、人の寿命はごまかせないゆえの信頼性がありました。一方で環境は生物の営みの積み重ねです。

私自身、読むのに集中力を要し、読み飛ばしたくなりましたが最後の後ろから3つめ「不安定さと衝突のリスクの増加」部分。

--
気候変動がもたらすものだけが不安定さと衝突のリスクを生むわけではなく、政治的、社会的に、そして経済的な文脈でその脆弱性が見出され、衝突へとつながるのではないか。
--

まさしく人間はひとりでは生きられないことの難しさを受け止めざるをえませんでした。改めて本レポートの貴重さ(たとえ一国の情報機関が発している偏りがあるにせよ)を感じています。

 

コーヒーブレイク

目次とレポートのダウンロードリンクをこちらに載せておきます。目次は迷子にならないための道しるべです。

GT2040 は実務でも使われる資料なので、目次立てもしっかりしていますし、各章の頭に要約が載っています。しかもホームページではご丁寧に下記の並びでそれぞれの記事が用意されています。

ホームページ
https://www.dni.gov/index.php/gt2040-home

└ はじめに
└ 全体要約
 ・5つのキーテーマ
 ・前段と全体要約
└ Covid-19についての言及
└ 構造的な潮流
  └ 人口動態&教育
  └ 環境
  └ 経済
  └ 技術

└ 出現しつつある動き
  └ 社会面:幻滅、情報社会、分断
  └ 国 内:緊張、乱気流、移行
  └ 国 際:競争激化、不確実、衝突しやすい

└ ビデオ
└ 5つのシナリオ
  └ 1.民主主義の再生
  └ 2.世界的に漂流する
  └ 3.競争的な共生
  └ 4.バラバラになる
  └ 5.悲運の連鎖

└ 地域ごとのシナリオ
  └ ラテンアメリカ
  └ 欧州
  └ ロシア&ユーラシア
  └ 中東&北アフリカ
  └ サハラ以南のアフリカ
  └ 南アジア
  └ 北の東アジア
  └ 南の東アジア
  └ オセアニア


ホームージの大枠は以上のようになっています。

なお、GT2040自体のPDFは以下よりダウンロード可能です。

https://www.dni.gov/index.php/gt2040-home/gt2040-media-and-downloads

Current edition
Global Trends 2040: A More Contested World

をクリックです。156ページ。


◇本メルマガのバックナンバーも併せて。

00 GT2040を読み始めたきっかけ
01 はじめに
02 導入~キーテーマ 5つ
03 ステージ構成
04 全体要約
05 新型コロナウィルス要因が未来に与えるもの
06 構造的な潮流 - 人口動態と人類の成長 


:::編集後記:::
地球工学(geoengineering)なんてコトバはじめて知りました。惑星間を行き交うSF小説(DUNE/砂の惑星)を読んでいるから気になるのかもしれませんね(笑)
+ 物語のチカラ を信じて
Story innovation - ストーリー・イノベーション - は
「物語」を用い、貴社(および社内)とお客さまとの関係を維持する仕組み作りをサポート。
本サイトは、コミュニケーション・デザインを企画する
MARC LOGUE(マーク・ローグ)が運営をしています。

MARC LOGUE 代表  原田 健也
メールマガジンバックナンバーはこちら

Copyright © 2021 Story Innovation, All rights reserved.